4

1/2
前へ
/19ページ
次へ

4

「やば・・・、忘れてた」 あと少しでお昼。算数の授業の時だった。今日から図形の問題を解くからコンパスが必要なのを忘れていた。昨日用意したのに、ランドセルに入れるのを忘れてしまったのだ。 「なんだ、また忘れ物をしたのか」 二、三度筆箱を開け閉めして挙動不審な僕を見つけると、福田先生は呆れたように言った。 「まあいい。備品のコンパスは何個か持ってきたから。他に忘れた人は?」 数人が手を上げて、福田先生が順番にコンパスを配っていく。 怒られなかった安堵より、僕の頭の中では「あと一つで・・・」という思いが駆け巡っていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加