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美織さんが脱いだコートをハンガーで壁にかけ、いつものソファーに案内した。
今日の美織さんは、紺色のカーディガンの下に見慣れない服を着ている。暗めのチェック柄のベストと膝丈の黒いタイトスカート。今の会社の制服だろうか。
「これ会社の制服?」
「うん。もう着替える時間も惜しくて」
隣に座った美織さんは、「走ってきたからちょっと暑い」と言いながらカーディガンを脱ぎ始めた。白いブラウスと細身のベストの組み合わせが妙にそそる。敢えてそそろうとしているのか。
「美織さんこういうの似合うよね」
「そう? 誰でも似合うんじゃない?」
思わずその身体に腕を回し、首筋にキスをした。唇はその時まで取っておきたい。
「ふふ、羽留ちゃん、くすぐったいよ……」
と思っていたのだが、美織さんの方から唇を重ねてきた。美織さんは私の唇が好きらしく、「柔らかい」と言いながら指でなぞり、そのままもう一度唇を重ねた。
こんなことをされてこれで済むわけもなく、舌を絡めながらベストのボタンに指をかけた。上から二つ外したところでそっと中に手を忍ばせ、ブラウスの上から柔らかい胸に触れる。
「……ねぇ、このままするの?」
「ん、ダメ?」
「羽留ちゃんって意外と変態っぽいところあるよね」
「変態心くすぐるのが悪いんだよ……」
すると美織さんは「せっかくだから羽留ちゃんも制服着てよ」と私以上に変態なことを言い出したので、そのまま強引に唇を重ね、身体を押し倒した。
ブラウスのボタンを外すと、露出した素肌からほんのり甘い匂いがする。入浴後とは違う美織さん自身の匂いに、私の欲情はますます高まった。
最初はちょっと抵抗気味だった彼女も、いつの間にか私の術中にハマり、夢中でしがみ付いて腕の中で声を漏らし始めた。
この声が私を狂わせるのだ。抑えめに喉元から漏れる声が愛おしくてたまらない。もっと抑えが利かないくらい狂わせたい。彼女の頭から私以外の雑念を全部追い出してやりたい。
そんな欲望に駆られ、夢中でその身体を貪った。やがて彼女は、私の耳元で上擦った声を漏らし、背を反らせて身体を震わせた。
震えが落ち着くと、彼女は私の頭をそっと引き寄せ、唇に吸い付いた。優しく舌を絡めながら、まだ熱の残る身体を手のひらでなだめる。緩慢な愛撫を続けると、彼女は肩で息をしながら、脱力した身体をソファーの上に投げ出した。
「……ねぇ、羽留ちゃんって女の人と付き合ったことあるの?」
「え、ないよ。なんで?」
「慣れてる感じだから。もう離れられる気がしないよ」
「そんなに気持ちいい?」
「うん。して欲しいこと全部分かってるよね。女の子だからかな」
美織さんは私が乱した着衣をそのままに、もう一度私を抱きしめて優しくキスをした。私の胸をTシャツの上から手のひらで包み、胸元に顔をうずめる。
「羽留ちゃんは触られるの好きじゃない?」
「嫌じゃないけど触る方が好き。でも相手によるのかな?」
「……ねぇダメだよ? 私以外で試しちゃ」
「ふふ、しないよ。私は一途だから」
すると、今度は美織さんが私の身体を押し倒した。Tシャツをたくし上げ、露出した肌を手のひらでさすりながら唇で触れる。ブラを下からずらされ、指先が先端に触れた。
「……気持ちいい?」
「うん……」
「ふふ。可愛い」
美織さんの舌使いが優しくて、思わず声を漏らした。下着に潜り込んだ指がそこに触れ、電気が走ったような快感に襲われた。好きな相手に触れられれば私だってこうなるのだ。
優しい指使いに感情をくすぐられ、少しずつ気持ちが昂り、そのうち緩く昇りつめた。
幸せに浸りながら美織さんを抱きしめると、彼女は私の首筋にそっと口付けた。
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