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世の中そう上手くはいかないものだ。
今日のところはこれで考えるのはやめよう。
さすがにホントに疲れてきた。
「やっぱダメだった?」
「……うん。まぁ分かってたけどさ」
「今度は事前に誘ってみようよ。さすがに急だと無理でしょ」
「……そうだね。さてどうしよっかね」
「なによ羽留、私と二人じゃ不満?」
「いやそうじゃなくてさ……。えっと、既婚者の先輩に婚活指南をいただこうかと」
「えっ! 羽留って結婚願望あったんだっけ?」
「あったんだっけ? いやもうよく分かんないわ」
そもそも私は色恋に全く興味がない。
興味がないまま二十代半ばを迎えた。
一応学生時代、同級生に言われるがままに交際して言われるがままに別れた経験はあるが、あの時の私は終始『無』だった。
そしてきっと、今後の人生も無のまま過ごすのだろう。
「……羽留なんか変だね今日。なに恋の悩み? 話聞こっか?」
紬のことはそれなりに信頼しているが、ちょっとこれは安易に人に話せることではない。
それに、きっと紬のことだ。
無の私よりも深く感情移入して苦しむ気がするのだ。紬は人や動物への情けは人一倍強い。そんな紬にこんな重い問題を背負わせるのは酷というものだろう。
「いや別に悩んでないけどさ。それより紬はどうなの? 彼氏と上手く行ってる?」
「まぁフツーだよ。もう付き合い長いから惰性って感じ」
「じゃあそろそろ結婚?」
「うーん……どうかなー。まだ遊びたいようなもう落ち着きたいような」
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