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私のせいじゃなかった。海斗くんが嫌な思いをしていたこと、私のせいじゃなかったんだね。
思い詰めてた気持ちが緩んで、視界が滲む。海斗くんの言葉がこんなにも心に染みる。
余韻に浸る私に海斗くんが声をかけてきた。
「受験終わったら、瑠夏ちゃんに言いたいことがある」
寒いから声が震えるんだろうか。
「受験があるから、負担にならないようにまだ言わない。でも、ごめん、なんか気持ちが高ぶっちゃって、ほぼ言ってるようなもんだけど……受験終わったらちゃんと瑠夏ちゃんに言いたいんだ」
海斗くんの言葉が、息と一緒に白く出ては消えていく。緊張しているのか、私と全く目が合わない。
まっすぐな海斗くんの気持ちがストレートに心に響いて染みていく。私も感情が溢れ出すのを抑えきれなかった。
「私は、海斗くんが好き……」
「……え」
私が伝えた言葉も白い息になって、静かな夕暮れに溶けていく。二人の胸の高鳴りが聞こえてきそうだった。
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