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あたしは2年前の夏、高校時代に憧れた彼と再会した。
ひと回り以上年上の彼は、知らない間にバツイチになっていた。
「もう2度と誰とも結婚しねーよ」
そう言う彼にバツイチの理由は聞かなかったけど、よほど結婚生活が辛かったんだと思った。
だからセフレでいい。
彼のそばに居られるならそれで。
そんな安っぽい感情だった。
だってあたしは、そうでもしないと彼の隣に居られなかったから。
「好き。大好き」
「……ああ」
好きなのはあたしだけ。
返ってくる言葉はそれだけ。
それでもベッドの中の、キスと彼の温もりに、あたしは幸せすぎて。
いつか、その内彼を本気にさせてみせる。
あたしを生涯のパートナーって、最後の女だって認めさせてやるって。
なんて思っていた。
馬鹿だよね。
何度も身体を繋げても、心が繋がったことなんて1度もないのに。
彼はあたしをセフレ以上に見たことがないのに。
だから決めたの。
この夏に、暑い季節に別れようって。
だって寒くなったら、身も心も凍えて別れられないから。
「あたし、別の人と付き合う。だから、ジンとは別れる」
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