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ナナとタマの新しい生活(1)
突然、ナナとタマが結婚することになり。鈴はそのことを伝えようと、角野教授のスマホに電話をかけると。角野教授はスマホ越しに喜び、盛大な結婚式を挙げようと言い出し。式場と費用はファンクラブが持つから心配するなと言う。
すると、鈴は遠慮することなく、ちょっと調子に乗り是非お願いしますと言い。ナナとタマの気持ちも聞かず勝手に話を決め、電話を切り。そのことをナナとタマに話すと。タマは、俺は猫だ、人間ではないが、ナナが結婚式というのをしたいなら俺は構わないと言い。ナナは、なんで勝手に決めるのと言っていたが、ご厚意を断る訳にはいかないと言い、でも私も猫だからねと言う。
勝手に決めた鈴は、一旦は謝ったが、あなたは私の妹だからねと言い。その3日後、鈴のファンクラブ、会員ナンバー20番のブライダル経営者の社長が、極秘の結婚式ということなら、鎌倉の別荘で結婚式を挙げることを提案すると。文句のつけようのない場所にみんな賛成し、鎌倉の別荘で結婚式を挙げることになり。結婚式の日取りは、2週間後となった。
これは、ナナとタマとの結婚式なのに、調子に乗ってしまった鈴は、よほど嬉しかったのか、自分の結婚式だと勘違いするくらい結婚式を仕切っていた。
それから2週間後、結婚式の当時を迎え。午前8時までに、鈴家3名、長谷川家3名、田中先生、鈴のファンクラブ31名、合計38名が、とある駐車場で送迎用のバス2台に乗り換える予定になっている。
午前7時を過ぎ、ナナはいつものようにリビングのソファーに座り、ニュースを見ていると。この家で嗅いだことがない香水の匂いがすると思い、その匂いが近づき、ちょっと見上げると、誰この人と思いよく見ると、鈴がドレスを着ている。いつも白衣姿か、ラフな服装の姿しか見たことがないので、そのギャップが凄すぎて。
「お姉ちゃん、どうしたの、その恰好?」
「えっ!? なんか変?」
「変じゃないけど、驚いた、まったくの別人というか、可愛いというか、綺麗というか、美しい、まるで私みたいね」
「確かに、じゃなくて、普通自分で言う?」
「だってそうじゃないの、お姉ちゃんが言ったんだよ!?」
「……」
「それと、今日の主役は私なんだからね……!? そうだ、お姉ちゃんも一緒に結婚式挙げる?」
「はぁ!? 私は結婚しないの、言わなかった?」
「お母さんっていう見本がいるじゃないの? 確かに、獣医としてはお姉ちゃんの方が上だと聞いてるよ、でもね、私はお母さんの方が上だと思うけどねー、ねぇ、お母さん?」
ナナの隣に座り、突然振られた鈴の母親は、私に振らないでよねと言いながら、立ち上がり、そろそろ時間だから行くわよと言うと。ナナは、キャリーバッグの中に入り。3人は駐車場に行くと、鈴の父親が運転席座り、エンジンをかけて待っていた。3人は車に乗り込み、送迎用のバスが待つ駐車場へ向かった。
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