染まりやすい君へ

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「ていうかお前今日も着てるけどちゃんと洗濯してるのか?」  染井が変わったTシャツを拾って一週間。  今日も通学路で染井は例のTシャツを着て登校していた。 「いくら気に入ってるからってたまには制服着てこいよ。普通に校則違反だぞ」 「脱げない」 「は?」 「脱げないんだ着たときからこのTシャツ」  脱がせようと咄嗟に服をまくりあげる。 「イヤぁぁぁああ町田さんのスケベ~!」 「Tシャツ桃色に染めてんじゃねぇ! 何だそのTシャツヤベーやつじゃんか呪いかよ! 脱げ! とにかくすぐ!!」 「ピッタリフィットで脱げないんだって! ほら俺最近筋トレ凄い頑張ってたじゃん!」 「知らねーッ!」  結局脱げなかった。  諦めて登校した。 「染井。なぜ制服を着てこないんだ」 「脱げないからです。一生Tシャツで生きていく覚悟です」 「えぇ~怖」  授業中幾度か教師たちから同じ質問を受けていた。  こんな感じで教師をあしらい、生徒からTシャツについてツッコミを入れられることも少なくなり、染井のあだ名が“ミスターTシャツ男”に定着してきた頃、事件は起きた。
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