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二人の会話に全くついていけない荻野がたまらずに自分が呼んだ医師に声をかけた。
「何だよ」
「こいつ、何者?」
「ハヤセ?顔でイマイチ国がわからんだろこいつ?日本国外の、有名な諜報機関の諜報員だった。元々アホみたいに運動神経は良かったし、おまけに特殊訓練受けてるから既にその点じゃ普通の人間は余裕で超えてる。けど、顔に派手な印つけちまって、目立ちすぎて外で使えねえって機関内業務に回されたもののな、現場がいいって駄々こねて、結局辞めたんだっけ?」
こく。
確かに、そんな国の人種にも見える。
が、だ。
「お前の知り合い?」
「同郷。お隣さんだった。昔はこーんなにちっちゃくて、女の子みたいで、めちゃくちゃ可愛かったぞ、こいつ」
お隣さん?嘘だろ。世界規模の世間も、こんなに狭かったのか??
「まあ、可愛かったのは、そうだろうな」
なんつーキャリアだこいつは。
そりゃあ、あんなチンピラの数匹なんざ、あっという間にのしちまうだろう。
「ハヤセ。お前、寝てねえな。薬が効きすぎんぞ。ここで寝かせてもらえ」
「おい」
「いいだろ、どーせ閑古鳥鳴いてんだし」
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