【CrazieR】1.納豆ピザトースト

6/10
前へ
/403ページ
次へ
 実は、病院は歩いて五分、走れば3分?の所にある。  顔よし、全身のバランスよし、衣類のセンス良し、性格は最悪。ただし、医師としての腕だけは誰もが平伏して認める彼は。  公立警察機構附属病院の外科、Ω科から産婦人科まで何でもござれのバケモノ医師、アディソン・シンブリード(α)。ただし、勤務中は抑制剤多用のため、α特有のフェロモンの感覚は皆無。  何をどうしてこんなところで医師業をしているのかは未だに謎だが、そんな彼と親友だと言う、その気になれば敏腕弁護士の荻野もかなり謎。    ぴく、と細い指が小さく動いた次の瞬間。  ソファの上で、ハヤセは音もなく飛び起きた。 (……え……?)  暖かく、見知らぬ部屋の中。  何だか、経験したことのない怠さに襲われているハヤセは、それでも無意識に部屋の中を見回していた。  全く洒落てもいない、単なる「事務所」の安っぽいソファの上。  誰もいないかと思いきや、向こうの部屋で人の気配がした。 「…………」
/403ページ

最初のコメントを投稿しよう!

657人が本棚に入れています
本棚に追加