【CrazieR】1.納豆ピザトースト

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 うえ、といかにも嫌そうな顔をしたハヤセは、それでも一応切り分けられたトーストの一つをつまみ上げた。 「……まずかったら、殺す」 「ここは日本」 「I don't understand what you're talking about」  半眼で、カリ。  がじ。  もぐ。  ……ぱち。  トーストを齧り、噛み切り、咀嚼し、眼を見開いたハヤセが  もくもく、ごくん。 「……うま」 「だろ」 「納豆?これが?」 「そ」  ぱく。もぐ。 「何これ?」 「食パン、バター、納豆をタレとマヨネーズで和えて、チーズ、でオーブントースター。美味いだろ」 「おかわり」  さっさと食べ終わると、ハヤセは荻野を見た。まるで子どものような表情だ。  ここには椅子がなく、大人が二人向かい合って納豆ビザトーストの立ち食いなんてかなり異様な光景だが。  そして。もう一枚納豆ピザトーストを荻野に焼かせ、それも食べてコーヒーを飲むと、ハヤセの雰囲気がほんの少し和らいだ。 「書類完璧だな。ちょうどうちの事務ちゃんが辞めちまったんだけど。お前、暫くうちでバイトしねえ?」  と、いいますか。  どこの誰ともわからない彼を、あっさり雇うとか言い出すあたり、やはり荻野。  ただ、荻野には何かはっきりしないが「こいつは絶対に大丈夫」という、何かを感じてしまっているから仕方がない。シンブリードの知り合いだと言うのも大きいのかも。  ちら、とハヤセは荻野を一瞥すると、
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