【CrazieR】 2.甘くないパンケーキ

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 まあ、このイケメンは無表情で目つきが悪く見えてしまい、おまけにとにかく態度がデカいのでヤンチャ坊主に絡まれる絡まれる。そして、それを全く怖がらず、売られた喧嘩を全部買い上げ、売った相手を使い物にならなくしてしまうので始末が悪い。 (お前らな、絡むにしたって、もー少し人を見る目を養えよ……)  なんて、荻野はハヤセだけでなく喧嘩をしかけた相手に対しても毎度ため息を吐きまくる始末。とにかく、相手がチンピラだったりギャングだったり。相手が相手でハヤセから仕掛けているわけではないので、今のところは一応、(荻野のおかげで)お咎めなし。  このひと月で、荻野はすっかり近所の派出所だの本署だのの警察官とは顔馴染みになっていた。  昨日も昨日で、長くかかっていた裁判がようやく終わり(完璧なる勝訴。相手は早々に控訴を諦めた。はっきり言って荻野は、やればできる弁護士だ)、気分良く飲んでいたところへ先に帰ったはずのハヤセを引き取りにこいと連絡があり、荻野はため息の応酬だった。 「何で殴った」  相変わらず無愛想できれいな顔を眺めて歩きつつ。 「殴ってない」  んじゃ、 「何しようとした?」 「ビルの隙間に引き摺り込んで」 「待て」  聞きたくない。 「あんたが聞いただろ」 「……それな、犯罪だから。お前はね、もう諜報員でも何でもないの。絡むな、絡まれるな、とにかく逃げろ」 「何で」
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