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どうしても朝は「Bread」なハヤセをパンケーキ専門店に連れてきたところ。
相変わらず無表情に近いが、見るからに上機嫌。
三枚重ねのふわふわパンケーキ。シロップとクリームはお断りしたハヤセに好きなだけトッピングを頼ませたら。熱々バター、ポーチドエッグ、フライドベーコン、スモークサーモン、ベビーリーフとトマトのフレッシュサラダに、マッシュポテト、頼むわ頼むわ。甘党ではないハヤセの選ぶトッピングは完璧に「おかず系」。当然、テーブルに隙間がなくなった。
「……全部食えよ」
「Sure♪」
sure、が弾んでいる。
荻野は、たいして腹なんて空いていなく、それでも噛みごたえのあるモチモチパンケーキの方が好みなので、迷うことなくそちらをチョイス。スタンダードなシロップとクリームでイタダキマス。平日の昼少し前のブランチタイムなので、客もいうほど数はなく、もっさい男と何やらいわくのありそうな美青年のへっぽこコンビが小洒落た店内で食事をしていても誰も気になどしていない。
「俺」
「?」
「ダイニングバー開く」
「……は?」
思わず、荻野は聞き返していた。
「お前、料理できんの?」
「全然」
「だろ?」
「うん。だから」
「?」
「明日から、料理教室行く」
「…………」
当然、荻野の口は半開き。
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