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そもそも。
なぜ、ダイニングバーなのか。
「いい加減にしないと、宿無しになるわよ」
ハヤセが、こんな風に香に言われたのがひと月前。
今日も売られた喧嘩を回避しようとはしたが、相手が悪かった。すったもんだの挙句、ハヤセはいつもの通りに警察のパイプ椅子に座らされていた。
出張で荻野がすぐに迎えに来られないことがわかり、どうしたものかと思っていたら、なんと香がやってきた。
「全く」と腕を組み、ハヤセを見下ろす表情は相変わらず年齢相応でない威厳たっぷりで。以前、香が国際警察機構にいた時に何度か一緒に仕事をしたことがある。その時に意気投合して以来の付き合いだ。遠慮なく物を言い、決して判断を誤らない香をハヤセは気に入っていて、彼女もそれをわかっている。
そして、やっぱり遠慮のない説教が始まった。
「話はつけたから大丈夫だと思うけど?あなたなら、相手を見れば素性はある程度推察出来るでしょう」
「……回避はしようとした」
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