【CrazieR】 2.甘くないパンケーキ

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「出来ていないんだから、言い訳にしかならないわ。散歩するなら、警察か検察庁舎の正門前にしなさい。それが嫌なら、保護者に付き添ってもらいなさい」  ぐ。  ……保護者。 「で、よ。いつまでむくれてるの?」  鋭くハヤセが松織を見上げた。 「むくれる?」 「そうでしょう?機関側から在職の提案があったのに、どう言う理由であれそれを蹴ったのはあなた自身。いまだに気持ちの整理がついていなくて、むくれてるようにしか見えないわよ」 「…………」  少なくとも、と松織は続けた。 「あの荻野って言う男性は、これだけ手がかかるあなたから離れていかないんだから、悪い人じゃないんでしょう?寝るところまで提供してくれたそうじゃない。それなら、自分自身を何とかしないと、近い将来放り出されるわよ。今のあなたは、ただただ今みたいに手のかかる、素性の知れないお荷物よ。その荻野さんは、慈善団体レベルの人ね」 「…………」 「どうせ、何も話してないんでしょう?」 「…………」  正解。  何故か荻野はハヤセにあれこれを問うことはない。共通の知人であるアディソンが、本人のいないところで情報提供するとも思えない。ハヤセの特殊さを考えれば、普通ならば根掘り葉掘り聞きたいだろう。
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