【CrazieR】 3.どノーマルな肉食

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【CrazieR】 3.どノーマルな肉食

 器用だ、ってのも、ある意味考えものだろ。 「これは?」 「うまい」 「これは?」 「うまい」 「……こっちは?」 「うまい」 「……これは」 「うまい」  げし! 「だ!!何しやがる!」  テーブルいっぱいに出された皿には、センス良く料理が盛り付けられている。 「語彙力向上推奨。それでよく弁護士なんてやってんな」 「っせえよ!食リポする必要なんざないからな、そんな語彙なんて要らねえの!俺は!」 「役に立たないやつ……」 「あ?」  そう。ただいま、仲良く絶賛メニュー開発中。      あれから3ヶ月。包丁の使い方も知らなかったハヤセが掛け持ちで通い始めた料理教室は、この辺でも有名なイタリアンとフレンチと和のシェフが主催する、割と本格的な教室だった。にもかかわらず、何とこのハヤセは器用なだけではなく、3人がそれぞれにスカウトに来るくらいのセンスがあったらしい。とりあえず朝から荻野が隣に付き添って丁重にスカウトをお断りすると、 「昨日。店、決めてきた」  とハヤセはまるで他人事。 「お前な」 「付き合って。すぐそこだから」 「すぐそこ??」  そう。すぐそこもすぐそこ。
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