【CrazieR】 3.どノーマルな肉食

3/11
前へ
/403ページ
次へ
 そして、その辺に投げてあったテーブルに図面を広げて半眼になった。 (……あの部屋見てたから、こいつは俺とセンスが似てると思い込んだのか)  あの部屋。  そう。  荻野の、自宅。      数日前。 「明日、裁判だから。8時に起こしに来て。これ住所」  前日、荻野が帰り際にハヤセに渡したメモには、きれいな字で住所が書かれていた。 「……何で俺が。アラームセットすれば」 「そんなもんで俺が起きると思うか?」 「知るか」 「いつもは午後にしてもらってんだけど、どーしても無理だったんだよ。な。頼む」 「……何これ」 「鍵」 「…………」  ハヤセが言葉を失っている間に、 「じゃなー、ついでに、来る時にこれ持ってきて。お疲れ」  荻野は鍵とファイルをポイ、とおしつけると、ヒラヒラと手を振って帰っていった。 「…………」  ハヤセが知る、最新式のキー。  もう一度住所を見ると、俗に言う「高級住宅街」。  てっきり、その辺の安いアパートのワンルームぐらいだと思っていたが。  ハヤセは立ち尽くして宙を睨んだまま、頭の中で荻野についておさらいを始めた。  荻野は。
/403ページ

最初のコメントを投稿しよう!

657人が本棚に入れています
本棚に追加