【CrazieR】 3.どノーマルな肉食

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 そう。以前のハヤセでは、あり得ない事実。  人に、心を許すとか。  こんなに、無防備になるなんて。    それが、何で??  だったのかなんて、ハヤセに答えが出せるわけもなく。  まあ?人間たまーに、本当に相性の良いもの同士ってのはいるもんだ。  かり、と前髪をかき上げて。 「……仕方ないか」  結局、早めにじゃんじゃん電話を鳴らしたが、当然荻野が出るはずもなく、イライラしながらハヤセはタクシーを呼んだ。 「ったく」  着いたマンションは割と高級なものだった。  渡されたキーで中に入ると、ロビーの手前のフロントカウンターでスーツを着た女性と出会した。 「ハヤセさまでいらっしゃいますね」 「自己紹介はしてないけど」 「荻野様から言付かっております。荻野様のお宅は25階です。そちらの一番奥のものが専用のエレベーターで、お持ちのキーでお乗りいただけます」 「ありがとう」 (コンシェルジュまでいるのか)  それも、口調や仕草からよく教育されているプロだとわかる。  25階にドアは一つだけだった。  ドアの真正面に立ち、とりあえず呼び鈴を押してみた。  反応なし。  もう一度。
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