【CrazieR】 4.コーヒーと、一時停止

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「あいつといると、身体が疼くんだろ」 「気持ち悪い」  はー、とイケメン医師は前髪をかき上げ、ぽふ、とハヤセの頭を叩いた。 「俺には全然反応しねーじゃん」 「抑制剤飲んでるからだろ」 「……それでも、あいつには反応すんだろ」 「…………」    ありえない。 「…………出ろよ」  裁判が終わり、荻野はコールしっぱなしのスマホを眺めながら低く呟いた。 『……何』  4回目の呼び出しで、けろりとした声が応答し、荻野は半眼になった。 「お前、仕事中だろうが!何度電話させんだよ。とっとと出ろ!」 『トイレ行ってた』 「……(本当かよ)」 『で?なに』  とりあえず、今朝の体調は脱したようだ。 「さっきメッセージ送っといたから。依頼人に同意書送っといて」 『ああ、来た。了解』  いつものハヤセだ。 「お前」 『ん』 「大丈夫か」 『問題ない。仕事する』  ぷつ。  ふむ。  荻野は片眉を上げて切れたスマホの画面を見つめると、 (とりあえず、大丈夫なのな)  地下鉄に乗るために歩き始めた。    一方。  頼まれた作業をさっさと済ませ、ハヤセは店の内装の図面をデスクに広げていた。
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