【CrazieR】0.猫は、豹になったりする?

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 あの野良猫が(いや実はとんでもない雄豹だった)、今や荻野にだけは擦り寄って、腹も背中も見せて触らせて、自分で腰を振っては震えながら切なげに吐息を漏らす。  荻野は、自分の唇をペロリと舐めると、自分の上で腰を揺らすハヤセの額の髪を避けてぐ、と腰を入れた。 「……ん」  ハヤセが一瞬で眉を寄せ、ぐ、と眼が閉じられると、荻野はく、と喉で笑った。 「ほら。そこじゃねえだろ。ここがいいんだろ。こっち?」  くちゃ、と嫌らしい音とともに腰をずらして突いてやれば、びく、とハヤセの身体が跳ねた。そのまま逃げかけた腰を掴んで固定しつつ、 「こーら」 「……ん、う……」  身体を起こして耳元で囁いてやれば、ハヤセが身体の芯で感じるのは知っている。  ぐるりと体勢を入れ替え、細い足を肩に担ぎ上げると、ハヤセの体内がぎゅう、と締まった。 「感じすぎる?」 「……ぅ……ん……」  ぶる、としなやかな身体が震えた。  前職の名残か。  最中でも、どんなに良くても、ハヤセが大きな声を上げることはない。  掠れるような、耐えるような、それなのに、甘く荻野を誘う声で喘ぐ。  だからと言うわけではないが、荻野がハヤセに声を出せと強要することもない。一度くらいはとことん嬌声を上げさせてみたいとも思うが、でも、いい。  自然なハヤセが、いい。
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