【CrazieR】 4.コーヒーと、一時停止

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 足元が、ふらつく。  酸素が供給できない状態で、そうそう身体がついていくはずがない。  正面の誰かにぶつかって、後ろから追いかけてくる数人の足音が聞こえ、流石に本気で「ヤバい」と思いかけた時。 「何してんだお前」  ぶつかって自分をの腕を支え上げた相手は、 「…………ぎ、の」  荻野だった。 「また喧嘩か」  呆れたような表情に、 「……ちが……」  ハヤセは僅かに吸い込んだ酸素を吐き出すように掠れた声で訴えた。  そのままずるりと崩れかけた体を引っ張り上げた荻野が、ハヤセを肩に担ぐように支え上げた。 「ち」  正面から走ってきた3人は、ハヤセを担いだ荻野の顔とその体格を見て小さく舌打ちをすると、そのまま歩いて行ってしまった。  ひゅう、と肩でおかしな息遣いが聞こえ、 「何だ。また絡まれたのか。殴られた?」 「……足、が、……ふらついて、……逃げ損なった……」 「どこ行こうとしてたんだよ」 「……コーヒー……」  荻野、一時停止。    そりゃ、今回は半分以上は俺のせいか。  ゴメンナサイ。   「…………悪かったな」 「……ふざけんな……」 「はい。ゴメンナサイ」  そして。
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