【CrazieR】 5.すげー変貌しやがった

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【CrazieR】 5.すげー変貌しやがった

 そして、明らかに「何言ってんだ」という表情で、コーヒーをひと口。  荻野が怪訝そうにハヤセを見た。  もう一度ため息をつき、 「別にいいんだけど。あんた、女だけだよな?」 「……わかるように言え、わかるように!」  ハヤセは「は――」と盛大なため息をつきつつ、上目遣いに正面の相手を見た。 「Ωの身体は、あんたが欲しくて欲しくてたまらないらしくて」 「俺?」  こと、とテーブルとカップが音を立てた。  ぞ。  ぎゅ、と肩をすくめて眼を瞑ったハヤセを見た荻野の口元が小さく笑った。 「そ、みたい、で。あんたの声聞くと」  欲しい。 「声」  ぞくり。  欲しい。  欲しい。 「全身、内側から撫でられてる、みたい、に……」 「へえ?」  正面から指を伸ばしてハヤセの耳元から顔を掬い上げてやると、びく、と細い首が揺れた。  嫌なのか嫌じゃないのか、ハヤセは訳がわからなくなっている。 「触る、な」 「触らなきゃ、抱けねえだろ」 「え」  くす、と唇だけで笑った荻野の眼は、全然笑っていない。 「お前、本気で言ってる?」  ぞく、ぞく、ぞく。  低い声は、更にハヤセの身体に浸透し。
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