【CrazieR】 6.CrazieR、開店です

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「見ず知らずのやつに話してやる義理はない」 「何それ。カスタマーサービス最低な店じゃん!」 「プライベートの切り売りはしない」 「くく!お前の完敗」 「うっさい郷美――!」  くす。  珍しく。本当に珍しく微笑したハヤセを、荻野が引っ張った。 「……何」  ちゅ。  ハヤセ、目が点。 「たまには俺の前だけで笑えよ」 「……アホか。もっとすごいもん見てるくせに」 「たまの笑顔に超絶萌えるの。お前には、俺の声と顔だろ。前髪上げたところだろ」 「…………」  図星。大好きな、一番好きなやつ。 「最中じゃなくても、お前だけにはたまにちゃんと見せてやってるだろ」 「…………」 「俺だけ、も重要なの」 「……バカか」  これも珍しく、ほんの少しだけ頬を染めたハヤセの反応に、気分を良くした荻野がもう一度ライトキス。 「その気になった?」 「…………あとで」  もう一度、ちゅ。  びくん! 「ふふ。とことん我慢しとけよ。さ、俺も飲もう。これ開けるぞ」 「……俺も、同じやつ」  くす。  Heat中じゃなくたって、荻野はハヤセを「その気」にさせる達人で。     どうやらこの二人は、いろんな意味で、ちょうどいい。 2022/12/26 【CrazieR】【終】    
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