【きゃぴにゃんvs.イケワン】1.「翠」

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【きゃぴにゃんvs.イケワン】1.「翠」

「ったく……」  CrazieRの開店騒ぎのあと。「んじゃ、カレン頼みますね」満場一致のそれを拒否できるわけもなく(何せ、自宅はお隣さん)。  シンブリードの広い背中にぬいぐるみのように背負われているのは、子ども……と言うにはやや育っているが、男性にしては小柄な身体。白い肌に、どう見ても柔らかな薄い色の金髪の、狙ったように緩くカールした癖毛。髪と同じ色のまつ毛は完全に下を向き、まるで「お人形さん」な本人は幸せそうな表情で完全に眠っている。  顔よし、スタイルよし、着こなし完璧な超絶イケメンが、何故だか子どもをおんぶの由。 「ほら、着いたぞ。キー出せ、キー」 「……んー……」  ごそ、……ごそ。  ぽて。  ぬ、と肩の後ろから力無く伸びてきた指の先にあるカードキーを取り上げると、シンブリードはお隣さんの部屋の玄関に入った。 「水――――」 「はいはいはいはい。持ってきてやるからとりあえず降りろ」  リビングのソファに小柄な身体を投げ出すと、カレンは半寝のまま幸せそうに置いてあったクッションを抱きしめた。 (相っ変わらず、とても成人男子とは思えねえ……)  ぱっと見は、可愛らしい少年。  実際は23歳成年。 (どー見たって中坊だろ)  それは言い過ぎ。
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