【きゃぴにゃんvs.イケワン】1.「翠」

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 シンブリードがキャビネットからグラスを取り出し、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを注ぐ。 「ほら」 「アディー」  むく、と起き上がったカレンは嬉しそうに笑い、グラスを受け取ると一気にそれを飲み干した。そしてそのままシンブリードに抱きつくと、  ちゅ。 「……ジェイ」  半眼になったシンブリードがべり、と小柄な身体を引き剥がした。 「やだ!やだあ、くっつくー」 (この激弱酔っぱらい……)  (カレンが)飲んで→(カレンが)潰れて→自宅が隣というだけで送る羽目になり→本人宅へ送り届けては→絡まれる。のがいつものパターン。 (今日もかよ……)  ぐったり。  そして、いつものように酔っ払いの延長で半泣きになったカレンに、更にゲンナリしたシンブリードがハンズアップで脱力した。 「座ってー」 「はいはいはい」 「頭撫でて――」 「はいはいはいはい……」  ぽて、とシンブリードの膝に頭を乗せたカレンの髪を仕方なく梳いてやると、既に殆ど眠っている。 「……大好き……」  小さくカレンが呟くように言った。 「……翠――……」  ぴた、とシンブリードの指が止まった。 「ジェイ?」  す――、と静かな寝息が聞こえてきた。 「……ジェイ?」
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