【きゃぴにゃんvs.イケワン】2.好物歓迎です

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【きゃぴにゃんvs.イケワン】2.好物歓迎です

 ピンポーン! 「…………」  ごそ。  ものすごいイケメンの、ものすごい顰めっ面には、ものすごい迫力がある。  一瞬持ち上がったシンブリードの顔は、再度落下し枕とKiss。  ぱた。ぱたぱたぱた。  左手はそのままサイドチェストの上を這い。 「……6時……」  掴んだスマホで時間を確認した直後。  ピンポーン!  そして、スマホの呼び出し音+振動の嵐。 「……るせえ、ジェイ!!」  悪魔も即死しそうな声で一声吠えると、シンブリードはベッドに投げてあった高級スウェットに脚を突っ込み、そのまま玄関に突進した。  ガチャ! 「テメェ……」 「おはよう、アディ!」  目の前20センチ下に、ふわりと天使が現れた。 「昨日はごめん。ありがと。また送ってくれたんだよねー?」  子どものようににこりと微笑まれれば、誰だって完全に毒気なんて抜かれてしまうだろう。 「……お前、酒癖悪すぎ!俺の隣で飲むんじゃねえよ。こら、入るな」 「ありがとうの朝ごはん持ってきたから、一緒に食べよ!アディの好きなハニーグレイズドドーナツ!と、野菜ごろごろスープ!」  ……ちっ。  そう。一歩間違えばシンブリードのストーカー?なカレンに、抜かりはない。別に恋愛感情なんかじゃないはずのこれ。翠を見ているようで、少しでも近くにいたくてシンブリードの隣に引っ越すと、ことあるごとに餌付けを企むが、全く靡いてもらえない。ただし、これに関しては「諦める」なんてカレンの辞書には書かれていないので、泣く子も黙るシンブリードの顰めっ面にも慣れっこの現在、カレンに怖いものなんて大してない。    
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