【きゃぴにゃんvs.イケワン】2.好物歓迎です

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇  カレン的にはハッピーな朝食で始まったいつもの日常は、そろそろ終わりを迎えていた。  カレンは、目を見開いて目の前のパソコンのモニターを凝視している。  キーボードに置かれた指の動きが止まっていた。 「……久遠?」 「ん?」  カレンの職場は、簡単に言えば「警察」。ここは少人数の「特別捜査チーム」。なんとなく聞こえはいいが、麻薬だの銃器だの臓器だの、違法取引業者の摘発から(とにかく危ない部分を請け負う)山岳地帯や海難の救助要請まで、とにかくありとあらゆる要請が入っては、時間と身体が許す限り対応しちゃう、もはや何でも屋さん。  チームリーダーの月城久遠は、今日も穏やかな表情だ。向こう側のソファでコーヒーを飲みながら何やら難しそうな報告書に眼を通していた彼は、静かに立ち上がった。このチームで一番一般人に近い感覚と常識を持った彼はいつも冷静で、感情的になることはほとんどない。  カレンの後ろに立つと、やや屈んで示された画面を覗き込んだ。 「これ」  久遠は立ち上がるとカレンの後ろに立ってモニターを覗き込んだ。 「ああ。多分、今日からうちの案件。今、ボスが上と方針やり合ってる」 「うちでやるなら、他から口出すなって?」  久遠は笑った。 「そう。やり方も手柄も手を出すなって」 「そりゃー、相手をする副長官も大変だねー。……これさ、人体へのAI移植の成功被験者救出って」 「そうみたいだな。神経系統への接続も成功してるらしくて」 「へー。めちゃくちゃ興味ある!けど、それ言っちゃダメだよね。この実験、どこがやってんの?」
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