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「う~~ん」目を開けた櫂の前に、水色の髪に菫色の目をした
見た事も無い、不思議な顔が見え「気が付きましたか?」と、聞く。
「え?誰?」「私は、この国の案内人です」鳥のさえずりの様な声だった。
櫂は、体を起こし「俺、死んだんだよね」と、聞く。
ここは、死人が来る、あの世とやらなのだろうか?
「いえ、死ぬ前に転生された様です」「転生?」何だろう?
「死ぬ前に、転生された方は、前の世界の記憶が有りますが
死んだ後に、転生された方は、前の世界の記憶は無いと、言う事です」
「あの~その転生って?」「違う世界に、生まれ変わったという事ですね」
「じゃ、ここは日本じゃないって事?」櫂は、キョロキョロしながら聞く。
「そうなります、私は、日本は知りませんが」
「知らないって、日本語喋ってるじゃないか」
変な恰好なのに日本語を喋っている、だから、不思議だったのに。
「ああ、これは、翻訳機が、働いている所為です」「翻訳機?」
「はい、貴方が、目を覚ます前に、街から持って来て、付けました」
その人は、櫂の耳と、自分の耳を指さす、櫂が手を当ててみると
確かに、その人と同じ補聴器の様な物が、付けられていた。
「ここは、何と言う所ですか?」櫂がそう聞くと
「ここは、ミラクという国で、転生者に優しい国です。
初めての転生者には、翻訳機と、剣と、マントとブーツが支給されrます。
そして、何も分からない人をサポートする、案内人も、一年間は無料です」
そう言って、櫂に、剣とマントとブーツを渡す。
「剣?何でこんな物が?」見た事も無い、西洋の剣だった。
「この国は、弱肉強食の世界、狩らなければ、狩られる世界だからです」
「ええ~っ、なにそれ」とんでもない所に来たと、焦るが
その人は、涼しい顔で「貴方は、運が良いようですね」と、言う。
運が悪かった、前の世界と違って、ここでは運が良いと言うのか?
「何で、そう思うんだ?」「第一に、来たのが昼間だった事、夜なら
真っ暗で、襲われても戦う剣も無く、直ぐ噛み殺されていたでしょう」
「え~~っ、噛み殺される?」ゾゾゾ~ッと、悪寒が走る。
「第二に、温かな気候の、南部だった事、南部は、年中、初夏の気温なので
食べ物も豊富で、マントだけで夜も過ごせます」
「南部?」「はい、この国は、北と南に細長く、北部は極寒の地
中部は、南部と北部の、中間位になります」
南北に細長いって、まるで日本と同じじゃないか、櫂は、そう思った。
じゃ、ここは、沖縄みたいな所?沖縄って、行った事は無いけど。
「第三に、私が休暇で、すぐ傍を通りかかった事。
転生した人を見つけるには、早くて一日、遅くなれば三日は掛かります。
その間に、命を落とす人も多いのです」「休暇、、だったのですか?」
「はい、前の仕事が終わったので、、良ければ、案内人として
貴方に付きますが」「はい、お願いします」初めての世界だ
案内人が要るのは、当然だし、俺を見つけてくれた人が良いと、思う。
「では、まず、私に名前を付けて下さい」「え?名前無いの?」
「はい、付く人が付けてくれるのが、決まりです」「そうか、じゃ」
名前を付けるにしても、これは聞かないと、と思った櫂は
「え~っと、貴方は女性ですか?」思い切って聞いてみる。
「私は、機械人形なので、性別は有りません」「き、機械人形?」
「もしくは、からくり人形でしょうか」「、、、ロボットって事だね」
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