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折角洗って来た剣だが、でかすぎるので、剣で切る。
蜘蛛は、どさっと草むらに落ちた、すると、草むらから
にゅっと手が出て来て、その蜘蛛を、持って行った。
「あれ?」「獲物が有れば、直ぐに奪う、これが、この世界です」
ナビが、そう言って歩き出す「蜘蛛にも、スキルって有るのか?」
後を追いながら聞くと「ええ、編み物とか、絡め捕りとかですね」
「編み物~?」またもや、地味すぎるスキル。
女は、必要かもしれないが、男の俺には用は無い、櫂はそう思った。
櫂が、倒れていたと言う所まで戻ると、ナビは、木と木の間に
さっきの肉が刺さっている草を渡し
「ここなら、風が通るので、直ぐに乾きますね」と、言う。
「ここで暮らす気?」「そうですね、ここは川も近いですし
川の先まで行けば、海に出ます、何かと、都合が良い所だと思います」
大きな木の下なので、夜露にも当たらないだろうが
これでは住家とは言えない「よしっ」櫂は、リュックの中から
携帯用の小型の鋸を取り出し、サバイバルナイフも持って
近くの木を伐り、バナナの木みたいな木から、長くて大きな葉っぱを
何枚も切り取って来た。
「鋸が小さいからな~あまり太い木は切れないんだ」
そう言いながら、切って来た木を、これも取って来た蔓で縛って
骨組みを作り、屋根に当たる部分に、葉っぱを乗せ
壁になる部分と、床になる部分にも、葉っぱを使って、家らしくする。
「凄い技術ですね~驚きました」出来上がった、小屋を見てナビが言う。
「まぁ、大工をやっていたからな~、これ位は、朝飯前だ。
板が有ると、もっと良い家が出来るんだが」
それでも、ちょっとした雨は、防げそうだった。
「何か、ここで役立ちそうな、スキルは無いのかな~」櫂がそう言うと
「では、あの鳥の、スキルを貰えば?」と、ナビが指さしたのは
黒い、烏のような鳥だった「これか?」櫂が、その鳥を倒す。
「この鳥は、火つけ鳥と言って、火を点けるスキルを持っています。
試しに、火をつけてみて下さい」ナビがそう言うので
リュックの中から、焚火台を取り出し、そこらの燃えそうな物を乗せて
「どうするのだ?」と、聞く。
「手を翳して【燃えろ】と言うと、火が付きます」まさかと思ったが
その通りにすると、火がついて燃え始めた。
「不思議だな~火を熾すのは得意だが、これなら、何の道具も要らない
便利な事には、違いない」そう思った櫂は、ふと気が付いて
「この鳥、森に棲んでるんだろ、火をつけて回ったら、火事になるだろうが」
と、聞いてみた「ご心配なく、ほら、あそこの赤い鳥
さっきの火つけ鳥を、探しているんです、火つけ鳥の相方で
火食い鳥と言います、火つけ鳥が、つけて行く火を片っ端から食べて行くので
火事には、なりません」「へ~~」「あれも倒して下さい」「分かった」
櫂が、その鳥を倒すと「さぁ、燃えている火に向かって
火食いと、言って下さい」ナビの言葉通りにすると
火は、掌に吸い込まれる様に消えた「凄いな~」確かに凄い。
だが、このスキルも、俺より消防隊員が、喜びそうだと思う。
ナビは、倒した二つの鳥の頭に有る、飾り羽を取り
「綺麗なので、これも売れます」と、言った。
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