第1章 小人とスクラップ屋

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リコウの激しい攻撃で、クウヤはなかなか起き上がることが出来なかった。すると、クウヤの胸ポケットからデトとロイトがひょっこり出てきた。 「クウヤ、大丈夫? しっかりして!」 「クウヤ! 今こそビャッコの魔力を使うんだよ!」 クウヤは体の痛みに震えながら、 「ビャッコって・・・どうやって使うんだよ?」 「両腕のブレスレットを十字に重ね合わせるんだ!」 それを聞いたクウヤは立ち上がり、両腕のブレスレットを十字に重ね合わせた。すると白い色をしたビャッコが鮮やかに光り出し、クウヤとバトロイドの足が光り輝き出した。 「こ、これは?」 「いけぇ、クウヤ! 早くリコウに攻撃するんだぁ!」 クウヤは言われるまま素早く蹴り出すと、クウヤのバトロイドも鋭くキックした。そのキックを受けるとリコウのバトロイドは吹き飛ばされ、リコウも激しくダメージをくらった。 「あ、あの白く燃え上がるような足は何だ? 一体あいつに何があったんだ?」 「リコウ、くらえぇ!」 それからクウヤのバトロイドは、まるで荒れ狂う獣のように攻撃を始めた。すると、胸ポケットにいるデトとロイトが叫んだ。 「これがビャッコの魔力だよ!」 「でも気をつけて! ビャッコの魔力は、クウヤの体を消耗させるから!」 「へっ! ここで俺が倒れるわけにはいかねぇんだよぉ!」 「クウヤ、お前こそ終わりだぁ!」 リコウもさらに高圧電流のパワーを上げ、2人の激しいバトルが続いた。するとリコウのバトロイドの足が壊れ始め、とうとう足が折れてしまった。 「し、しまった!」 「リコウ! このバトルは、俺がもらったぁ!」 クウヤのバトロイドのキックが、リコウのバトロイドの頭を直撃した。 「うわああ!」 リコウのバトロイドは吹き飛ばされて地面に倒れると目の光りが消え、そしてリコウも力尽きて地面に倒れた。 クウヤとデトとロイトは、喜びながら大声で叫んだ。 「勝ったぁ! リコウに勝ったぜ!」 「うわぁい! やったやったぁ!」 ガスタンクのリングサイドにいる観客も興奮し、一斉に大声を出した。 「うおおお! タンク4の新チャンピオンはクウヤだぁ!」 「クウヤ! クウヤ! クウヤ!」 観客はクウヤを胴上げをして、新しいチャンピオンの誕生に祝福した。観客の叫び声でガスタンクの壁がビリビリと震え、タンク4のエリアに広く響き渡った。
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