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私はもう嫌いになったよ、でもまだ忘れられないんだ。
この電車に乗るたびに、元彼が脳内に顔を覗かせる。あのむかつく、忌々しい顔が。
彼はコンプレックスの塊だった。有名な場所に住みたくて、高い家賃を支払っていた。「乗り換えがめんどくさいんだよ」とか言いながらも、そこに住んでる自分に酔っ払っていた。
カフェで課題をやったりとか、偉い人と知り合うために良いバーに通ったりだとか、ようはいいふりこきな人間だった。
初デートの誘い文句は、「東京出身で、東京長いから案内してやるよ」だったし、別れる時の言葉は「嫌いになったわけじゃない。でも……」だった。
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