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懐中電灯の光を当てると、二つの大きな目が宝石のようにきらりと光るのだ。
それは得も言われぬ美しさと妖しさを秘めている光景だった。
僕は初めて見る日本人形に心を奪われてしまっていた。
そのとき、急に背後から聞きなれた声がした。
「お前、ついにあれを見てしまったのか……」
振り返ると、蔵の入り口に血の気の引いた顔をした祖母が立っていた。
「お、おばあちゃん」
「その人形を見てしまったのかい?」
「う、うん。ごめんなさい」
「謝ることはない。だけど、それは呪いの人形なんだよ」
祖母は僕の目をじっと見つめて、そう言った。
「呪いの人形……?」
「ああ。見た者の呪われた運命を顔に映し出す、と言われている人形でな」
運命を映し出す?
僕は再度、人形に目をやった。
「あっ」
先ほどまでたしかに白かった顔が、ペンキを浴びせたように真っ赤になっていた。
鮮やかな赤というより、血液のようなどす黒い赤に顔が染まっているのだ。
祖母は体をぶるっと震わせた。
「ほら、ごらん。人形が血の色に染まっているだろう」
「おばあちゃん。これって僕の運命を映してるの?」
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