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「え、嘘!?きゃああああああああああああ!あああ、ど、どうしよう麻痺しちゃった!」
「まずい、僕も今助けに行けない!……というか、あのドラゴンってどうやってゲットするの!?ボール投げる隙が全然見つからないんだけど!」
「き、気合しかないかな……っ?あ、死んだ」
「姫ちゃん時々ものすごい脳筋だよね知ってた!」
なお、お互いに購入して遊んで練習しているからといって、スキルがあるとは限らない。どっちも機械音痴だからなのか、二人で協力プレイしているのにボスにはまったく勝てなかった。仲良く同じタイミングで並ぶゲームオーバーの文字に、思わず笑ってしまったほどである。
その点、焦らずにできるだけあって、まだアナログなゲームの方が得意であるかもしれない。世界的に売れているというトレーディングカードゲームも引っ張り出してきていた。お互いひそかにカードを大人買いしてデッキを組んできたのである。
「手札のブルードッグの効果で、さらにブルードッグを二体召喚するわ!はい、トリプル召喚で、トリプルブルーウルフ召喚!効果で……」
「あ、ごめんトラップ発動。落とし穴落ちてくれる?」
「ちょっとおおお!?」
「できることなくなったら早いところエンド宣言してね。多分、今回は姫ちゃんに勝ち目ないと思うから。むしろ初手の手札事故から、よくブルーウルフまでつなげたよねと感心してるところ」
「……不思議よね。罠はデッキに五枚しか入れてないのに、なんで初手の手札四枚に全部綺麗に揃うのかしら」
「手札事故あるある。謎の偏り。はいはいターンエンドは?」
「うう、ターンエンド……」
楽しい時間は、あっという間に過ぎていった。
二人が恋仲となり、たった一日だけという制約の元逢うようになってから。逢うたびに行う遊びの内容も、時代を反映してどんどん変わっていってはいる。
ちょっと詩を読み合うのが精々だった頃からは、考えられないようなことがたくさん起きた。
私はお洒落なカラードレスを着るようになったし、髪も染めるようになった。洋食を作って、ケーキを買って、ばっちり一人でお化粧もして彼を待つようになって。
トランプをするようになり、トレカをするようになり、電源ゲームもするようになりTRPGもするようになり。雑談の内容だって、やれワイドショーだのユーチューブの面白い動画だのとどんどん話が広がるようになっていった。
それは、この世界がどんどん豊かになっていっていることの証明でもある。私達の生活も、話題も、流行と文化に合わせてどんどん進化していっているのだから。
だけど。
「あと、一時間ちょっとか」
ちらり、と時計を見て彼が言う。
「残る時間は何しようか?カラオケでもする?機械入れたんだろ、姫ちゃん」
「……そうね」
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