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『遅くなってごめんなー、やっとテスト終わったから、早速アイテム、舞にも送っといたから。確認してみて!』
嬉しそうに優しく笑うお兄ちゃんがそこにいて、本当なら、「なんであたしの確認も取らないで勝手なことするの?」って言いたかった。
でも、お兄ちゃんはいつだってあたしに優しいんだ。アイテム交換は、テストが終わったらすぐしてやるからなって、言われていた。
だから、仕方ない。
仕方ないけど、優吾くんと交換がしたかったのに。
涙が次から次へと溢れ出して、止まらない。
「わ?! なんでそんな泣くんだよー。別に俺怒ってねーから」
あたふたとし始めた優吾くん。
悲しくて、悔しくて、湧き上がってくる涙を止めることが出来なかった。
先生が泣いているあたしに気が付いて、優吾くんが怒られている。
優吾くんは悪いことなんて何もしていないのに。
あたしが泣いてしまったから、先生が勘違いをして怒っただけだ。
保健室で呆然として座っていたら、気持ちが徐々に落ち着いてきた。
コンコンとドアがノックされて、そこから顔を出したのは優吾くんだった。
「大丈夫か?」
「あ……うん」
「なんで泣いたんだよ?」
「だって……アイテム交換……出来なくなっちゃったから」
「なんだよー、ほんとにそれだけ? 別にフレンドにはなれるでしょ? もっと他にもそれぞれにしかないレアなもん、たくさんあんだよ!だから、今日帰ったらちゃんとフレンド登録しとけよ! じゃあな」
「え……あ、うん」
あたしが頷くのも聞かずに、優吾くんは保健室から駆け出して行った。
わざわざ、様子を見にきてくれたんだ。
優吾くんと、フレンドなれるんだ。
「……ふふ」
心の中がほんわか、あったかくなる。くすぐったい様な不思議な気持ち。
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