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すると、ララたちが部屋に入るまで口論していた老人が、すかさず異議を唱える。
「近衛隊長といえど、陛下直々のご命令に『待て』とは無礼な。陛下の裁きが不誠実だと申すのか。陛下、この者は自分が混血だからチタニア人に同情しているまでの事。隊長の言う事に耳を傾ける必要はございません」
アシュラムは近衛隊長だったのだ。
肌の色も瞳の色もほかのマヌ人と違っていたので、混血と聞いて、なるほどと思った。
「血とは関係ありません」
アシュラムはエメラルドグリーンの瞳で、黒い瞳をした老人をにらんだ。
「意見があるなら言え。血の話は慎め」
王は二人の側近にむかって言った。
老人は不満げに口をつぐんだ。
「ティミトラのような功臣の娘をむやみに殺せば、兵士たちの志気がさがります。娘からは薬かまじないを使って石を取り出し、誘拐されたクレハ様の安否が確認できるまで身柄を拘束して、そのあとで裁判にかけ、処分を決定するのが妥当かと。男のほうも同様です。そうすれば、誰も陛下のことを不義とは思わないでしょう」
『誘拐された』という言葉がララの耳に引っかかった。
あの盗賊のような男たちが、王のいとこを誘拐したというんだろうか?
だとしたら、クレハは男たちに強要されて襲ってきたんだろうか?
それにしても様子が変だったけど……。
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