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カラスは立ちあがってドゥーモの腹に蹴りを入れた。
ドゥーモのほうもやり返そうとしたが、長く監禁されている分衰弱していたので、ほとんど抵抗できない。
もう一度蹴ると胃の中のものを吐いて、おとなしくなった。とはいえ、出てきたのは胃液だけだ。
看守は骨と皮のようなドゥーモを引きずって、隣の房に移した。
そのときはじめて隣の囚人の声が聞こえた。
〈ドゥーモと一緒の房だけは嫌だ〉と、か細い声で嘆願している。
看守は〈また騒ぎだしたら、隣のチタニーみてえに蹴り倒すんだな〉と言って鍵をかけた。
隣の囚人はそれ以上なにも言わなかった。あの声からして、しゃべるのも億劫なほど衰弱しきっているのかもしれない。
看守が行ってしまうと、監房に静寂が訪れた。
やっと静かになった……。
カラスはまた石床に横たわり、目を閉じた。
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