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王は嘘をつかれて怒っているんだ。
言うなと言われてるけど、このままでは舌を引き抜かれてしまう。もともと嘘をつく必要なんてないんだし、正直に話せば許してくれるはずだ。
「石は私が持っています。嘘ついてごめんなさい」
すると王はうっすら笑みを浮かべ、カラスにむかって言った。
「やっぱり嘘だったか。おまえごときに騙されるほど節穴ではないぞ」
カマをかけていたのだ。これで嘘がばれてしまった。
カラスにもの凄い形相でにらまれ、ララはうつむいた。
王はさらに質問をつづけた。
「ジャングルで第三の目を持つ少年に会ったそうだな?」
「あれは作り物で……」カラスが答えかけると、
王は「おまえは黙れ。娘に聞いている」と、さえぎった。
「どうなんだ? 横にいる嘘つきのことは気にせず答えろ」
高官たちから刺すような視線を一身に受けながら、ララはためらいがちに口を開いた。
「王様の額の目にそっくりなのをつけた男の子に会いました」
「私の目は本物だ」
額の紫色の目が、生々しくまばたきする。
やっぱり、王の目も、ジャングルで会った少年の目も、あとからつけているようには見えない。
けど言い伝え通りなら、両方とも本物なんておかしいはずだ。在位中の王が死ぬまで後継者の第三の目は閉じてると言っていたけれど、王の目も少年の目も両方とも開いてる。
それに王様はそんなに年老いていそうにも見えないし──それとも私がマヌの神話にうといだけで、王様が一度に二人選ばれるということもあるんだろうか?
「その少年のことを火だるまにしたのか?」
「だって、むこうが襲ってきたんです。マヌ人の男の人たちと一緒に」
「おまえが火だるまにしたのは、私のいとこだ。名はクレハ。私と同じく第三の目を持っている。彼を焼き殺したとすると、死罪に値する」
「えっ⁉︎」
ララは目が点になってしまった。死罪⁉︎
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