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「おまえは黙っていろと言ったはずだ。見苦しい」
王が眉根をよせてひとにらみすると、またしても第三の目が光り、カラスは背中に紐をつけて引っぱられた人形のように、入り口の扉まで吹っ飛んだ。
閉じた扉に、両手両足を見えない力で磔にされ、口を動かしても声も出ない。王にとっては、本当に象がアリを潰すくらい雑作もないことのようだった。第三の目でにらんだだけで、指一本動かしていないのだ。
謁見の間には近衛兵もいたが、これほどの魔力があれば、改めて兵士に守ってもらう必要はなさそうだった。
カラスはこれでも目は作り物と言い張るのだろうか?
「我が国では十三歳の子供でも戦場に立つ。おまえはその石が何なのかわかっているのか?」
王の声は低く静かだ。が、腹の底からわきあがってくる怒りを、抑えているような声である。
アシュラムは王の隣にいるのに、あいかわらず涼しい表情で立っているだけで、間を取り持ってくれない。
ララはカラスのほうを振り返った。
「答えろ!」
言われて、あわててむき直る。
「知りません。でも、おばあちゃんがほかの魔法使いからもらって、その人もまた別の人からもらって、大切に守ってきた石なんです。渡してはいけない人に渡すと、悪いことが起こります」
「その魔石はな。何万年も前、我々マヌ人の祖先が、子孫のために作り出したものなのだ」
王はそう語りだした──
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