僕の災難

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 もう何を言っているのかわからなかった。おそらく本人にさえわかっていないだろう。僕は「はあ」だとか「へえ」などと適当に相槌を打っていた。 「てか、慎吾は今、どうだ、仕事?」  もう3回はされた質問だったので、メニュー表から顔を上げずに、 「まあ、それなりって感じかな」 「何だそれ、つまんねえ。つまんねえ奴だな」  店員がレモンサワーを持ってきた。良平はそれを受け取り、一気に半分ほどを喉へ流し込むと、 「てか、今でも思い出しただけで手が痛いよ。ついさっき殴ってきたみたいに」 「ああそう」 「あれ、なんか中指がおかしいな。すげえ痛い。何だろこれ」 「その時、怪我したんじゃないのか?」 「馬鹿、3か月前だぞ。今痛むのはおかしいだろうが」 「それもそうだな」 「てか、すっげえ痛いよ。マジで」 「病院行けよ」 「なんか、腫れてるし、曲がらないし、ヤバイかもしれない」 「だから、病院行けって」 「何だよその態度は! 馬鹿にしてんのか!」
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