⑥お礼です

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⑥お礼です

次の日教室に猫又親子が現れた。 「ありがとうございました。お礼に貴方の好きなを準備しました」 起きた俺は、猫又親子の話に期待していた。 大好きな詩織(しおり)が目の前にいた。 「(そう)くん……。」 詩織は俺の右手をとり、ゆっくり自分の胸を触らせる。俺はあまりの衝撃に自ら手を引いた。 「どうしたの?詩織?」 「あたしの事好きなんでしょ?」 詩織はゆっくり笑う。俺はクラスのみんなを見た。 ーーん?クラスは誰もこちらを見ていない。何だか変だ……。夢? 「誰だお前!」 詩織は突然笑い出し詩織の周りは煙につつまれる。煙が消えるとそこには、年老いた老婆が立っていた。 「なんだい。見破ったのか。若い男を食えると思ったのに……」 ーーヤバかった。気がついてよかった。夢乗っ取られてた。 「お礼……怖っ。お礼はもう大丈夫です」 俺は丁重に猫又親子に頭を下げた。 猫又親子は満足そうにニャーニャー鳴きながら消えた。老婆も消えていた。 俺は目を覚まし放心状態で桜を見た。膝の上の温もりに膝の上を見ると猫又の子供が丸くなって寝ている。 クラスの皆んなには見えないみたいだ。俺が猫又を触ると猫又の子供が起きた。 「お前また出てきたのか?母さん心配するぞ?」 「大丈夫。母さんに言ってきた」 「お前名前は?俺は爽」 「俺は(ふく)」 「よろしく福」 爽に懐いた福は嬉しそうに目を輝かせた。そしてにゃーにゃー猫のように鳴く。 「やっぱり猫語か?わからんな」 俺は笑っていた。いつも心の中の声までもわかってしまう。解らない言葉が嬉しかったし安心できた。 にゃーにゃーにゃーにゃー (訳 妖のよろずやは、可愛い子プレゼントしてくれたら、何でもやってくれるよ。みんな宣伝してね) 爽の知らない所で呼び込みをされ、それを聞いていた見えない妖達はまた噂を広め、爽への依頼が増えたのだった。 まだまだ爽のよろづやは続く……
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