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サガシモンは相変わらずぐるぐると回っているが、これでこの島に何があることは確定したわけだ。わたしの直感は正しかったことになる。
「さて理絵君。サガシモンに見つけられないとなると、あんたの出番だよ」
「わたしの鼻は人並みだよ。ていうか、自分でなんとかするんじゃなかったの」
「自分で現場の指揮を取るという意味です」
理絵が睨んでくるが、これは的確な人選のはずだ。物理的な観測が通用しないのなら、霊的なアプローチが必要になる。
「正直に話してごらん。この場所に何か感じるよね?」
「別に見えるものはないけど……」
そう言いながらサガシモンを目で追っていた理絵の視線が、ある一点に止まる。いつの間にか入口の門のところに黒猫がいて、こちらを見ていた。
「なんか、見覚えがあるんだけど」
「同じく」
黒猫の見分けがつくほど猫に詳しいわけではないが、見た目はフランスで見た猫にそっくりだ。
黒猫の姿を見ていたそのとき、不意に脳裏に映像が浮かんだ。ずっと小さい頃にこれと同じ事があった。わたしはここの滑り台で遊んでいて、あの黒猫に出会ったのだ。
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