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「リエミちゃん、スコップよろしく」
「なんかわかったの?」
わたしは理絵からスコップを受け取ると、砂場を確認した。大きさは縦横二メートル程度。黒い砂が敷き詰められた普通の砂場だ。わたしはその中央にスコップを突き立て、ゆっくりと砂を取り除いた。
砂場そのものはあまり深くなく、四十センチも掘ると、大きめの石にぶつかった。そこから下はほとんど石ばかりで掘り進めるのも難しくなる。
「わん」
諦めかけたところで、サガシモンが一声鳴いた。わたしが掘った穴に入ってきて、地面をしきりに調べている。
「ねえ、なんかおしりが光ってるけど」
「ん? ホタルでもいるの」
「そうじゃなくて、あんたのおしりだよ」
背後にいた理絵に言われて、おしりのポケットに手を入れる。取り出した村瀬さんの石が、青い光を放っていた。
その光を見つめた瞬間、わたしは立ち眩みを起こしたようになって、意識が遠のいた。
* * *
「天音ちゃん、そろそろ帰ろうか。お腹も空いたでしょう」
わたしを呼ぶ声がして振り返ると、おばあちゃんが微笑みながらこちらを見ていた。
「おばあちゃん、わざわざ迎えに来たの?」
そう言いながら、違和感に気づく。おばあちゃんの背後に夕日が見え、空がオレンジ色に染まっている。まだお昼にもなっていないはずなのに。
「今日も沢山遊んだわねえ」
おばあちゃんは、わたしを軽々と抱き上げた。びっくりして声も出ない。いくらおばあちゃんが元気でも、わたしだってそれなりに体重があるというのに。そもそも、おばあちゃんってこんなに大きい人だったか。
わたしは自分の手のひらを見て気づいた。幼い子供の手がそこにある。これはわたし自身が小さくなっているのだ。
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