神秘の島

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 ケチャップで描かれた猫の絵が可愛いオムライス。ふわふわ卵の優しい甘さと、コンソメ味のチキンライスが絶妙にマッチしている。胃袋をつかまれた幼児のわたしは、おばあちゃんのお嫁さんになるんだと本気で思っていた。 「この子はどうなんだろうな」 「どうって?」 「シマノチの事だよ」  わたしが食べる様子を微笑みながら見ていたおじいちゃんたちが、何やら話し始めた。 「多分、記憶関係かなって思ってるの。この子、一歳の頃にはもう文字を区別していたんですって」 「知能が優れているだけでは?」 「どうかしら。頭がいいことは確かみたいだけれど」  二人は何の話をしているのだろう。わたしが見つめ返すと、おばあちゃんはにっこり笑って頭を撫でてきた。 「あなたは大きくなったら、どんな子になるのかしらね。優しい子に育ってくれれば、それだけでおばあちゃんは嬉しいわ」 「天音は可愛すぎるから、誘拐されたりしないか心配だよ。定年して暇になったし、おじいちゃんは天音のボディガードをやろうかな」 「うふふ、なにそれ。ずっとこの子についているつもり?」 「うむ。虫一匹近づけさせんよ。黒帯の実力、見せてやろう」  おじいちゃんは冗談めかして力こぶを作ってみせた。
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