神秘の島

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 *  *  * 「おーい、天音?」  気がつくと、理絵がわたしの顔を覗き込んでいた。その距離があまりに近かったので、とりあえずチューしてやった。 「ちょっ、何してんだっ」  慌てる理絵を見るとなんだか落ち着く。どうやら現実世界に戻ってきたようだ。 「わたし、ぼうっとしてた?」 「二、三分くらい魂抜けてたよ。あんた、さっきからおかしくない?」  この公園からおばあちゃんの家に帰ってオムライスを食べるまで、少なくとも一時間はあった。わたしの体感と、実際の経過時間にかなりの差がある。でも、わたしにとっては現実と何も変わらなかった。まだオムライスの味が口の中に残っている気がするし。  右手に握っていたペンダントを見ると、石はもう光っていない。これがわたしに作用した可能性が高いが。 「わん」  足元のサガシモンが一声鳴いた。鼻先で石を退かそうとしている。わたしが手伝ってやると、その下から見覚えのあるペンダントが出てくる。今度は赤い石がはめ込まれていた。
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