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「それ、危なくない? あんたがおかしくなったのって、その石のせいでしょ」
「別におかしくないよ。過去の記憶を見たりしただけだよ」
「いやいやいや、十分おかしいよね」
石の正体は後で三城博士に調べてもらうとして。赤い石の方にも似たような力がある可能性は高い。理絵の言う通り、突然光りだしたら少し困るが。
赤い石がはめ込まれている台座は、金色のアンティークなデザイン。赤い石が少し派手目なので、どちらかと言うとわたしよりおばあちゃんに似合いそうだ。
そんなことを考えていたとき、ふとわたしは思い出した。わたしはこれを見たことがある。そもそも、ここにペンダントが埋まっていたのは、わたしが関係しているような。
「ちょっと、天音? 大丈夫?」
理絵が心配してわたしの顔をうかがう。意識の方はしっかりしているのだが、わたしはある既視感に囚われていた。過去の記憶が一部だけ不自然に抜け落ちている。途中までは思い出せるのに、ある場面から先を思い出そうとすると、急に頭の中にモヤがかかったようになるのだ。これと同じ事が前にもあった。
「……墓地だ」
わたしはキョトンとしている理絵の両肩に手を置いた。
「例の夏祭りの肝試しだよ。白い服の女の人に会った時のこと、もう一回詳しく聞かせてくれない?」
わたしは記憶力には絶対的な自信がある。何かの力が作用して、記憶を消しているのでは。突飛な話だが、そう思えてならなかった。
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