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おじいちゃんはわたしが見ていることに気づくと、驚いた顔をして挙動不審になっている。幽霊なのに怖いとかは全くなく、むしろなんだか可愛らしい。いつも明るくて元気だったおじいちゃんならではだ。
「本当におじいちゃんなんだね」
わたしが聞くと、おじいちゃんは観念したようにうなずいた。口元が動いているようだが、声は聞こえない。
「理絵、会話は出来ないのかな」
「どうだろ。わたしも、見えることはあっても、声が聞こえるのはレアだからね」
おじいちゃんは身振り手振りで何かを伝えようとしているが、さっぱりわからない。下手くそなジェスチャーゲームみたいになっている。
そんなことより、おじいちゃんがこうして目の前にいる。それだけで、わたしは胸が一杯になっていた。
「約束通り、ずっとわたしを守ってくれてたんだ」
おじいちゃんは照れくさそうに笑うと、力こぶを作ってみせた。
「あれ、泣いてるの、天音」
「泣いてないよ。潤みがちなだけだよ」
からかいながら理絵が覗き込んでくるので、わたしは背を向けた。
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