シマノチ

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 おじいちゃんが伝えた文字を繋げると〝しまのち〟となる。つい最近聞いた単語だ。実際に聞いたのは遠い昔だが、青い石によって呼び起こされた記憶の中にそれは残っていた。 「……昔、おばあちゃんと話してたよね? シマノチがどうとか。わたしは小さかったから意味はわからなかったけど」  おじいちゃんはうなずくと、公園の出口を指差した。 「そっか、おばあちゃんに聞けってことね。じゃあ、一旦帰ろうか」  掘り返した砂場を埋めていると、赤い石の光が弱まってきた。それと同時におじいちゃんの姿が薄れていく。 「おじいちゃん?」  微笑んだまま、おじいちゃんの姿はかき消えてしまった。  そのとき、わたしは唐突に思い出した。この赤い石は、理絵と同じように霊的なものを見せてくれる。わたしは子供の頃、島で拾ったこのペンダントを手にして、沢山の霊を見た。怖くなったわたしは、この場所に埋めて隠したのだ。今まで忘れていたのは、おじいちゃんがわたしの恐怖心ごと記憶を消してしまったのだろう。  そこまで考えて、ふと疑問が浮かぶ。石を埋めた当時、おじいちゃんはまだ元気だったはずだが。 「天音、どうした」  またぼうっとしている間に理絵の顔が接近していたので、チューしてやろうかと思ったが、今度はかわされてしまった。
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