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「まあ、おじいさんったら化けて出たの」
おばあちゃんに事の顛末を話すと、大層驚かれた。
「信じてくれるの?」
「当たり前でしょう。天音ちゃんがわたしに嘘をつくわけないもの」
そう言うと、おばあちゃんはおじいちゃんの遺影の前に座り、目を細めた。慈しむような優しい微笑みだ。
「それで、〝シマノチ〟のことなんだけど」
「ええ。あなたも知っておいた方がいいでしょうね。お茶でも飲みながら話しましょうか」
おばあちゃんはおじいちゃんに祈りを捧げると、ゆっくりと腰を上げた。
「この島に住む人たちはね、みんな何かしらの不思議な力を持っているの。ご先祖様から受け継いだ、血が関係しているそうよ」
籠にてんこ盛りにしたお茶菓子を食卓に置き、おばあちゃんは語り始めた。
なんとなくだが、納得出来た。島全体から漂う不思議な雰囲気は、住んでいる人々にも感じられたからだ。
「わたしたちは〝島の血〟と呼んでいるけれど、力に気づくのは、ある程度大きくなってからなの」
「あれ? 村瀬さんは子供の頃から力を持ってたんだよね」
「ええ、光夫ちゃんは特別に力が強かったのね。……本当はね、力のことは、本人が気づくまでは教えない暗黙の決まりがあるの」
そう言うと、おばあちゃんはわたしの顔をじっと見つめた。
「力があることが必ずしもいいこととは限らない。光夫ちゃんみたいに辛い思いをすることもあるからね」
胸が高鳴っていく。おばあちゃんの言う通りだとすれば、わたしにも何かしらの力があるということになるからだ。
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