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「天音ちゃんは何か特別な力を感じたことはあるかしら」
「どうだろう。周りには変な人がたくさんいるけど」
「誰が変な人だ」
理絵がすかさずツッコミを入れてきた。理絵ももちろんだが、木崎さんや蓮見さんも普通とは思えない。
「やっぱり、理絵ちゃんにもそういう力があるのね」
「霊能力者も真っ青だよ。……やっぱりってどういう意味?」
「わたしたちには、同じ島の血を引く人がなんとなくわかるの。多分、理絵ちゃんのご先祖様にも、島の人がいるんじゃないかしら」
理絵とは物心つく前から一緒にいるが、妙に気になる存在ではあった。それは親友としての感情だと思っていたが、それだけではなかったのか。理絵と同じルーツを持つとすれば、わたしに力があっても不思議ではない。
青い石に見せられた過去の記憶の中で、おばあちゃんが言っていたことを思い出す。
「昔、おばあちゃんは記憶関係がどうとか言ってたよね」
わたしが聞くと、おばあちゃんはびっくりした顔をした。
「覚えているの?」
あれは石の力で体験した記憶だが、見せられたというよりは掘り起こされた感じがした。わたし自身があの日の出来事を鮮明に覚えていたということだ。
「確かに記憶力には自信があるけど、これが島の血なの?」
理絵の霊能力や、木崎さんたちの力を間近で見てきたわたしからすると、種類が違う気がするが。
「うふふ、神経衰弱っていうトランプのゲームがあるでしょう? わたしとおじいさんは二歳のあなたに勝てなかったのよ。流石に覚えてないでしょうけれど」
「なにそれ、すごっ」
理絵が珍獣でも見るような目でこちらを見てくる。おぼろげだが、隣の和室の畳の上で、よくトランプで遊んでいた記憶はある。
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