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わたしは、石を隠せそうな場所を探して公園の砂場を選んだ。おもちゃのスコップで限界まで掘って、穴の中にペンダントを埋めたわけだ。今まで埋まったままだったのは、この島に子供が少ないためだろう。まさかこのペンダントがおばあちゃんの物だったとは。
「ごめんなさい。勝手に埋めちゃったりして」
「いいのよ。きっと怖い思いをしたんでしょう。それ、光夫ちゃんに貰ったんだけれど、わたしも最初はびっくりしたもの」
ここでまた村瀬さんの名前が出てきた。彼はどこでこれを見つけて来たんだろう。
「この石があれば、また会いに来れるって光夫ちゃんが言っていたんだけれど、どういう意味かしら」
おばあちゃんが首を傾げる。この石は霊を可視化するもの。その力を借りて会いに来る状況となると、考えられるのはそういうことしかないが。
唐突に石が光り始め、空中にぼんやりと像が浮かんでくる。現れたのは二人の幽霊。おじいちゃんはともかく、もう一人の強面の男性を見てドキリとする。写真で見た村瀬さんと人相が一致する。
「あなた……。そちらは、光夫ちゃんかしら」
村瀬さんはおばあちゃんを見て、恥ずかしそうにうつむいている。一方のおじいちゃんは、そんな二人を不思議そうに見比べている。旦那さんと、自分の奥様に好意を抱いていた幼馴染み。この構図は、果たして大丈夫なやつだろうか。幽霊同士の喧嘩とか、ちょっと見てみたい気もするが。
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