ミラーハウスはイセカイへの入口

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ミラーハウスはイセカイへの入口

 地元にずっと昔からある、こじんまりとした遊園地。遊具も大分くたびれてきて、他の大きなテーマパークと比較すると、見劣りする感は否めない。でも、ここには子供の頃に遊んだ想い出と、ほっとする安心感があるのだ。  敷地の隅の方に、その施設は建っている。長年、日光に晒され続けた看板はもはや文字が読めない。確か、カタカナで「ワンダーハウス」と書いてあったはずだ。  幼稚園に通っていた頃、遠足でここを訪れたときに入ったのが最初だった。その時はイセカイに迷い込んだのだと本気で思った。何度もおでこをぶつけながら、無事に脱出出来た時には半べそをかいていたのを覚えている。  一見すると子供騙しの施設だが、実は鏡には魔力がある。これは多くの伝承や伝説にも登場することだ。配置の仕方や時間帯によって、様々な現象を引き起こす力があるのだ。  この施設は普通の時間帯に入っても、ただのミラーハウスに過ぎない。太陽が落ちたとき、特定の時間帯にだけ、イセカイへの扉が開く可能性があるのだ。
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